畳の上げ方は?必要な道具と畳のお手入れ方法も紹介

自宅に6畳や8畳の和室があるという人は多くいます。日本の家庭で育った人なら、子どもの頃に畳の部屋で過ごした思い出がある人も多いでしょう。

しかし、畳のお手入れ方法を知っている人は多くありません。「自分で畳は外せるの?」や「重そうだし、畳のプロに頼むべき?」と疑問に思う方もいるでしょう。

そこで本記事では、家庭でできる畳の上げ方・取り外し方を解説します。畳上げは、あなたの大切な畳を長く綺麗に保つために重要です。畳上げに適した時期など関連情報も盛り込んでいますので、ぜひご一読ください。

畳を上げるときに必要な道具

畳を上げるには、まず、必要な道具を揃えましょう。畳上げに必要な道具には、以下4つがあります。

  • マイナスドライバー
  • タオル
  • マスク
  • ゴム手袋(軍手でも代用できる)

マイナスドライバーは、グリップのついた大きなサイズを選びましょう。手鍵(てかぎ)と呼ばれる特別な道具がありますが、一般家庭では手に入れられないことが多いため、マイナスドライバーをおすすめします。

また、畳を持ち上げる前に、ゴム手袋とマスクを着用してください。ゴム手袋は、畳を持ち上げるときに、手が滑らないように身につけます。軍手を使用するのも良いですが、滑り止めが付いているものがおすすめです。

そして、作業中に埃を吸い込む可能性もあるため、マスクの着用も欠かせません。なお、畳を上げるときには、汚れてもよい服装で行ってください。また、畳を上げたあとの床を掃除するために、掃除機を準備しておくとよいでしょう。

畳の上げ方を3ステップで解説

畳を上げるのは、方法を知っていれば難しくありません。畳の上げ方を3つの手順に分けて解説します。

  1. 畳と畳の隙間が大きい部分を探す
  2. 工具を畳の側面に刺す
  3. 畳を持ち上げる

それぞれの手順を、詳しく解説していきます。

畳と畳の隙間が大きい部分を探す

畳を持ち上げるためには、マイナスドライバーなどの工具を畳の側面に差し込む必要があります。そのために、まず畳間の隙間が比較的広い部分を探します。

昔の畳は隙間があることが多くみられましたが、現代の施工方法ではほとんど隙間がないように仕上げられています。もし隙間を見つけにくい場合は、畳縁が重なっている箇所より、畳同士が直接触れている部分を試すと、畳表の柔軟性を利用して少し挿し込みやすくなるでしょう。

工具を畳の側面に刺す

隙間が広い部分を見つけたら、深くしっかりと側面にマイナスドライバーを差し込んでください。一般的な畳の厚みは約5cm程度です。浅く差し込んでしまうと、畳を持ち上げるときにマイナスドライバーだけが抜けてしまい、畳が傷つく可能性があります。

また、マイナスドライバーが壊れて畳が倒れてしまうこともあります。怪我を防ぐためにも、作業は慎重に行ってください。

畳と畳の間から差し込む場合、畳同士の接触部にプラスチック板が入っていることがあります。硬いと感じたら、畳縁の方からマイナスドライバーを差し込みます。畳は、い草を使って作られたデリケートな床材です。傷がつきやすいため、作業するときには、注意深く丹念に取り組みましょう。

畳を持ち上げる

次に、テコの原理を利用してマイナスドライバーの柄の部分を力強く倒しながら、畳を持ち上げていきます。畳が持ち上がったら、手を滑らせて畳を斜めに移動させましょう。

藁床の畳は、約25〜30kgと重たいですが、「建材畳床」は約10kgで、比較的持ち上げやすい畳です。20年以上前の畳をお使いの場合は、藁床である可能性が高いので、持ち上げるときには腰を落とし、ゆっくりと力を入れてください。

なお、畳を戻すときに、どの畳がどこに入っていたかがわからなくなってしまうことがあります。元の位置に正確に戻すためには、通し番号などの目印をつけると良いでしょう。

畳は場所によって微妙にサイズや形が違うことも少なくありません。あわない場所に戻すとフィットしないこともあるため、注意しましょう。

畳上げをしたあとにおすすめのお手入れ

畳上げをしたあとには、以下の3つのお手入れがおすすめです。

  • 畳の下を掃除する
  • 畳を拭く
  • 天日干しをする

それぞれのお手入れ方法について、詳しく解説します。

畳の下を掃除する

畳上げをしたあとの畳の下は、普段は目に見えませんが実はさまざまなものが隠れている場所です。長い間清掃されていないと、ほこりやダニ、カビなどが溜まっていきます。アレルギーの原因となることもあるため、畳を上げたタイミングで掃除をしましょう。

畳を上げた後、まずは乾いた布やモップで大まかなほこりを取り除きます。次に、掃除機を使ってダニや細かなゴミを吸い取っていきましょう。

畳を拭く

外した畳には意外と多くのホコリがついています。そのため、畳を拭いていきましょう。最初に、畳に掃除機をかけて、ホコリを取り除きます。畳の目の方向に従って掃除機を動かすことが大切です。

掃除機のヘッドの部分を強く押し当てると畳にダメージを与える可能性があるため、優しくゆっくりと清掃していきましょう。

ホコリの清掃が終わったら、固く絞った雑巾で拭き取ります。畳は湿気を吸収しやすいため、拭き掃除をしたあとは、しっかりと乾拭きをしてください。このときも、畳の目の方向に逆らわない様に雑巾をかけましょう。

天日干しをする

畳上げが終わったあとには、天日干しがおすすめです。天日干しとは、畳を取り外し、庭や玄関先といった太陽の下で畳を干す作業です。湿気が畳の内部に留まると、カビやダニなどの問題を引き起こすため、風を通して湿気を減らしていきます。

畳を干すときには、直射日光を避け、風の流れが良い場所に立て掛けましょう。日焼けを防ぐため、裏面(畳床側)を太陽の方向へと向けてください。

次に、畳をはたきで叩き、ホコリやゴミを取り除きます。乾燥の目安時間は午前中から4~5時間程度です。一般的な畳のサイズは、縦約170~190cm、横約85~95cmで、外した畳を一度に干すには、十分なスペースが必要です。

もし、干すスペースが確保できない場合は、畳を少しだけ持ち上げておくのも有効です。空き缶やボトルを畳の下に置き、部屋の窓を開けて風を通しましょう。扇風機やサーキュレーターを併用するのもおすすめです。

畳上げに関するよくある質問

畳上げを頻繁にした経験を持つ人は少ないことから、さまざまな疑問が出てくるでしょう。ここでは、畳上げに関するよくある質問に回答していきます。

どのくらいの頻度で畳上げをするといい?

1年に数回は、畳を上げて畳の下と畳の換気を行いましょう。畳には、部屋の湿度を適切に保つ調湿機能があります。しかし、水分が多すぎると、カビやダニの繁殖の原因となってしまいます。

できれば、天日干しもするのが望ましいと言えます。風の通る場所で畳を乾燥させることで、カビやダニの増加を防ぎやすくなるでしょう。

畳上げに適した時期は?

春と秋の、湿度が低く晴れた日に作業するのがおすすめです。夏は、日差しが強く畳の色が褪せやすく、冬は湿気でなかなか乾かないためです。

畳を上げたらカビがついていた場合は?

畳の表面が清潔でも、裏側にカビが発生していることがよくあります。一度カビが発生してしまうと、普通の清掃方法では、簡単には取り除けません。ここでは、カビの掃除方法を紹介します。

【必要な道具】

  • スプレーボトル
  • 小分け容器
  • 消毒用アルコール(80%程度のエタノール濃度)
  • 古い歯ブラシ
  • 乾いた布

消毒用アルコールを使用するため、掃除をするときには窓を開け、換気を良くして行ってください。

【掃除方法】

1,スプレーボトルに消毒アルコールを入れ、カビの上に直接スプレーしてから20分待ちます。

2,分け用の小容器にアルコールを少量入れ、歯ブラシを中に浸けます。ブラシにアルコールを含ませ、畳の目の方向に合わせてカビを掻き取ります。

3,カビを取り除いた後、歯ブラシを小分け容器のアルコールで洗い流します。

4,すべてのカビを取り除くまで、2と3の工程を繰り返します。小分け容器のアルコールが汚れたら、新しいアルコールと取り替えてください。

5,カビを取り除いたら、畳にアルコールをスプレーしながら、乾いた布でやさしく拭き取ります。このときも、畳の目に合わせて拭きましょう。

6,風通しの良いところで、十分に乾燥させます。

まとめ

畳が湿気や水分を含みやすいことや、天日干しによってカビを予防できることを知っておくことは大切です。必要な道具を準備して正しい手順で行えば、畳の取り外しは難しくありません。

しかし、天然素材を使用している畳はデリケートな部分も多いため、正しい手入れをしないと劣化してしまうことも考えられます。もし、畳の交換や表替えが必要になったときには、畑畳に相談してみませんか。